行政上の義務履行確保(強制手段)を図でまとめました。
この分野は、予備試験はもちろんのこと、行政書士試験でも頻出です。
特に、よく設問で比較されている即時強制と直接強制の違いについてはしっかり覚えましょう。
行政上の強制手段
行政上の強制手段は、行政強制と行政罰の2つに大きく分けられます。
この2つの違いは、義務違反が現在のものなのか、過去のものなのか、という点にあります。
- 行政強制→現在履行されていない義務に対し、行政上の目的を達成するために、強制的に義務を履行させたり、義務を履行したのと同じような状態を作り出すこと
- 行政罰→過去の義務違反に対して科される制裁
行政強制
行政強制は、行政上の強制執行と即時強制の2つに大きく分けられます。
この2つの大きな違いは、
相手方の義務の不履行が前提となっているかどうか
です。
- 義務の不履行が前提→行政上の強制執行
- 義務の不履行を前提としない→即時強制
行政上の強制執行
行政上の強制執行とは、「現在履行されていない義務に対し、行政上の目的を達成するために、強制的に義務を履行させたり、義務を履行したのと同じような状態を作り出すこと」を言います。
つまり、行政上の強制執行には必ず、事前に義務を賦課する行為が先行します。
行政上の強制執行は、行政代執行、執行罰、直接強制、強制徴収の4つがあります。
行政代執行
執行罰
直接強制
強制徴収
即時強制
即時強制は、「相手方の義務の存在を前提とせずに、行政機関が直接に、身体または財産に対して実力を行使するもの」です。
人権に対する侵害が大きいため、当然ながら法律の根拠(即時強制を行うことができる旨の定め)が必要です。
そして、事前の義務の賦課がなく行政代執行法の適用を受けないため、即時強制は条例を根拠として行うことも可能です。
即時強制の例と根拠法
即時強制の具体例と根拠法をまとめました。