担保物権や譲渡担保など、とにかく「担保」にまつわる問題が苦手!という方は多いのではないでしょうか。
社会人であればお仕事やプライベートで家を購入したなど、「担保」について実際に経験した方もおられると思いますが、 大学生の方はそうそうお目にかかる機会がないのが「担保」です。
今回は、とっつきにくい「担保」について、教科書を読んでもよくわからない、基本書の前段階の基礎知識が欲しい、という方に向けて
そもそも担保とは何か?を簡単に説明し、司法・予備試験や行政書士試験などでよく見かける担保物権についてもザックリまとめてみました。
そもそも「担保」とは何か
「担保」とは、債務の不履行に備えて債権者に提供され、債務の弁済を保証する手段となるもののことです。
これを段階に分けてわかりやすくいうと、
- 貸したお金(または物や権利など)を返してもらえなかった時に備え、
- 債務者(借りた側)から債権者(貸した側)にあらかじめ提供してもらう
- 物または権利のこと
が「担保」と呼ばれています。
人的担保と物的担保
担保には「人的担保」と「物的担保」の2種類があります。
人的担保とは
人的担保とは、債務者以外の人の信用力や一般財産をもって担保とするものです。
債務者がお金を返さない場合は、人的担保となった人が代わりにお金を返さなければなりません。
人的担保の例としては、保証人や連帯保証人などが挙げられます。
物的担保とは
物的担保とは、特定の財産(物または権利)が債権の担保となることです。
債務者がお金を返さなかった場合、物的担保となった対象のものや権利を処分してお金に換えることができます。
物的担保のことを、物上担保と呼ぶこともあります。
物的担保の例としては、質権、抵当権、譲渡担保などが挙げられます。
人的担保と物的担保の比較
人的担保と物的担保を比較すると、経済的な価値が高いのは物的担保となります。
なぜなら、人的担保は保証人が無資力になれば価値がなくなってしまうのに対し、物的担保の価値がゼロになることはほぼあり得ないからです。
担保物権とは
担保物権とは、「債権者が債権の履行を確保するため(債権の担保のため)に目的物の交換価値を支配することを目的とする物権」のことです。
担保物権には、「典型担保」と「非典型担保」の2種類があります。
典型担保と非典型担保の違いは、民法の条文に規定があるかどうかです。
典型担保とは
典型担保とは、民法の条文に規定のある担保物権のことです。
典型担保には、留置権・先取特権・質権・抵当権の4種類があります。
法定担保物権と約定担保物権
典型担保はさらに、法定担保物権と約定担保物件に分けられます。
非典型担保とは
非典型担保とは、民法の条文に規定のない担保物権のことです。 「非典型」と言われるとなんとなく「あまり使われていないイレギュラーなもの」というイメージが浮かぶかもしれませんが、実務上はむしろこちらの方が頻繁に利用するかもしれません。
非典型担保の具体例としては、譲渡担保や仮登記担保、所有権留保などがあります。
担保物権の性質と効力
留置権
(留置権の内容) 第二百九十五条 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。 2 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
先取特権
(先取特権の内容) 第三百三条 先取特権者は、この法律その他の法律の規定に従い、その債務者の財産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
質権
(質権の内容) 第三百四十二条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
抵当権
(抵当権の内容) 第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。 2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
譲渡担保
譲渡担保とは、
譲渡担保について詳しくは、以下の記事にまとめてあります。
まとめ
担保物権は非常にわかりにくい分野であるとともに、予備試験・司法試験や行政書士試験でも頻出の分野です。 できない人が多いので、ここをしっかり勉強して他の人に差をつけましょう。