抗告訴訟は、行政事件訴訟法の中心的な内容のひとつです。抗告訴訟について、どんな種類があるのか、それぞれの訴訟類型ごとに関連する条文とポイントをまとめました。
- そもそも「抗告訴訟」とは何か?抗告訴訟の正確な定義を知る
- 抗告訴訟の種類
- 処分の取消訴訟
- 裁決の取消訴訟
- 無効等確認訴訟
- 不作為の違法確認訴訟
- 義務付け訴訟
- 差止訴訟
- 訴訟選択のポイント
- 取消訴訟以外の抗告訴訟に準用されている条文、されていない条文
そもそも「抗告訴訟」とは何か?抗告訴訟の正確な定義を知る
(抗告訴訟) 第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
「抗告訴訟」とは 「行政庁の」「公権力の行使に関する」「不服」の訴訟のことです。
この定義を正確に覚えておくことが、行政法において訴訟を的確に選択する上での重要なポイントとなります。
抗告訴訟の種類
抗告訴訟のうち、法定抗告訴訟と呼ばれるものは、下の6つがあります。
- 処分の取消訴訟
- 裁決の取消訴訟
- 無効等確認訴訟
- 不作為の違法確認訴訟
- 義務付け訴訟
- 差止訴訟
以下に、それぞれの根拠条文とポイントを簡単に解説します。
処分の取消訴訟
裁決の取消訴訟
無効等確認訴訟
不作為の違法確認訴訟
(抗告訴訟) 第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。 5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
(不作為の違法確認の訴えの原告適格) 第三十七条 不作為の違法確認の訴えは、処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。
(取消訴訟に関する規定の準用) 第三十八条 第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。 2 第十条第二項の規定は、処分の無効等確認の訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟とを提起することができる場合に、第二十条の規定は、処分の無効等確認の訴えをその処分についての審査請求を棄却した裁決に係る抗告訴訟に併合して提起する場合に準用する。 3 第二十三条の二、第二十五条から第二十九条まで及び第三十二条第二項の規定は、無効等確認の訴えについて準用する。 4 第八条及び第十条第二項の規定は、不作為の違法確認の訴えに準用する。
引用:
不作為の違法確認訴訟は、「処分又は裁決についての申請をした者に限り、提起することができる。」と条文内にもある通り、原告適格が非常に限られています。
取消訴訟で原告適格が認められる「法律上の利益を有する者」(第9条)については、条文が準用されておらず、原告適格は認められませんのでご注意ください。(予備試験短答過去問)
義務付け訴訟
差止訴訟
訴訟選択のポイント
取消訴訟以外の抗告訴訟に準用されている条文、されていない条文
試験対策的には、取消訴訟の規定のうち、他の抗告訴訟に準用されているもの、されていないものの区別が重要となります。
取消訴訟についての規定が準用されるのは、 第11-13 16-19 21-23 24 33 35
準用されていないのは