未修・理系社会人がゼロから始める司法試験予備試験受験

貧乏勤務医が人生とキャリアにプラスを求め、ゼロから予備試験→司法試験を受験する過程を赤裸々に。2020/4月、中央大学法学部通信教育課程3年次編入。

【民法】前主・後主の関係と対抗関係を押さえる〜所有権を主張するには登記が必要か?

前主・後主の関係と対抗関係
前主・後主の関係と対抗関係

基本用語かもしれませんが、私が最初、理解できなかった用語の一つがこれ。 前主・後主(ぜんしゅ・こうしゅ)の関係対抗関係の違いです。

当たり前すぎるのか、これについて解説している本があまり見当たらなかったので、前主・後主の関係と対抗関係について簡単にまとめるとともに、頻繁に出てくる所有権との関係も整理しておきます。

前主・後主の関係

契約関係が一本の線で結べるのが前主・後主の関係です。

上の図で言うと、Aが前主、Cが後主となります。

  • AとBは第一売買契約の当事者
  • BとCは第二売買契約の当事者

なので、AとCはBを挟んで当事者と同じような関係(当事者類似関係)にあります。

後主は民法第177条の第三者に当たらない

民法177条における第三者とは、「当事者及びその包括承継人以外の者であって かつ、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」なので、当事者類似の関係となるCは第三者とはなリません。

したがって、CはAに対し、登記がなくても所有権を主張することができます。

図の事例では、AからBへ、第一売買契約を理由として所有権が移転したのち、BからCへ売買契約を理由として所有権が移転しています。AとBは売買契約の当事者であるため、Bは登記がなくてもAに対し所有権を主張できます。同様に、BとCは売買契約の当事者であるため、CはBに対し登記がなくても所有権を指摘できます。

AとCはBを挟んで当事者類似の関係にあるため、CはAに対し、登記がなくても所有権を主張することができるのです。

逆に言うと、BはAから登記を移転してもらわない限り、登記を得ることができません。Bが登記を得ることができないので、後に売買契約を結んだCも当然登記を得ることはできないのです。

対抗関係

前主・後主の関係に対し、契約関係が一本の線で結べないのが対抗関係です。

所有権の設定及び移転は当事者の意思表示のみで成立する

(物権の設定及び移転) 第百七十六条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。

引用: 民法 | e-Gov法令検索

まず、絶対に忘れてはいけない所有権の基本をおさらいします。

所有権についての基本は、「当事者の意思表示のみで成立する」と言うことです。

これは意外と忘れがちな点ですが、ここを忘れると話が繋がらなくなります。 常に頭の片隅に入れておきたいポイントです。

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まとめ

地味だし誰でもわかるようだけど、これがきちんと理解できていないと、 民法の問題を解くときに、登場人物や出来事の図をきちんと書くことができません。

基本すぎるのか、教科書や用語集などでもはっきりと書いてあるものが少なく、 理解できるまでにやや時間を要しました。